大人的恋愛事情
 
「繭っ! あんたどこ行ってたの?」



月曜の朝のロッカールームで、詩織に開口一番そう聞かれて首を傾げる。



「どこって?」



「どこってじゃないわよっ、何度も電話したのに、全然繋がらなかったじゃない」



「電源切ってたから」



軽く答えた私に、詩織が呆れた声を出す。



「かけてんだから、切られてることくらいわかってるわよ」



「なにかあったんですか?」



詩織の勢いに私同様首を傾げながら、美貴ちゃんが聞く。



「あったもなにも、圭から何回も電話あったよ?」



「そうなの?」



どこまでも軽く返す私に、詩織がベストを着ながら溜息を吐く。
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