大人的恋愛事情
恐る恐る言う私に、詩織がロッカーの扉を閉めながら不思議そうに呟いた。
「ずっと家の前にいるって言ってたけど?」
嫌な予感というのは何故か当たったりして。
というより、いい予感なんてことは感じたこともない気がする。
予感するのは必ず嫌な時。
「ずっとって?」
「繭が帰って来るまで待つって言ってた」
「帰って来るまで?」
「うん、そうね」
「それホントなの?」
「さあ、でも寒そうだったからホントじゃない」
「それ金曜の話?」
「ううん、土曜の夜の話」