大人的恋愛事情
土曜の夜って……。
「え、鍵持ってるの嘘だったの?」
思わずそう口にした私に、詩織が呑気に首を傾げながら言う。
「持ってるらしいけど、さすがに繭のいない時には勝手に入れないって。まあ、そりゃあそうよね、そんなことしたらある意味犯罪……」
「で、繭さんはどこに?」
詩織の言葉を遮って、美貴ちゃんが静かに聞いてくる。
どこって……。
何故か言いにくい状況なのはどうしてなわけ?
圭がずっと待ってた?
しかも家の中ではなくて家の前で?
「ずっとってことはないでしょ? いくらなんでも、現実的にずっと家の前でとかあり得ないよね?」