大人的恋愛事情
 
開き直った気分のまま、ロッカールームを出ようとすると、詩織と美貴ちゃんの声が聞こえた。



「ふーん、藤井さんとねぇ」



「ちょっと繭さんっ、村岡さん可哀想ですよ」



どうして可哀想なわけ?



私はやり直す気はないわけだし、可哀想もなにもないから。



金曜の夜から鳴り続けていた電話。



土曜の夜まで?



土曜の夜って雪がチラついてたよね?



あの圭が、まさかそんなことは……。



総務に入り自分のデスクに向かう途中、男性社員が声を掛けてくる。



「佐野、二番に電話」



忙しいのか、伝えるだけ伝えて総務を出て行く男性社員。
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