大人的恋愛事情
午前中の仕事を終えて、昼休みの時間を迎えると同時にデスク上の電話が鳴る。
一瞬嫌な予感にそれを見送ると、電話が鳴りやみ後ろから詩織の声が聞こえた。
「繭、一番」
思わず振り返り、詩織の表情から相手を読み取ろうとしても上手くは行かず。
「圭なら……」
「藤井さんよ」
アッサリと返され、ホッとしながら受話器を取った。
「はい」
『昼、一緒に食わねえ?』
軽く聞いてくる低い声も悪くないと思うのに、どうやら美貴ちゃんは圭の声の方がいいらしく。
なんとなく比べるようなことを考えた自分に我ながら呆れ、気を取り直し電話に意識を向ける。