大人的恋愛事情
 
「なにがあったの?」



その声に後ろを振り返ると、詩織が立っていた。



「なにが?」



「随分、藤井さんと仲よさそうじゃない、先週はまったくだったのに」



確かにそう言われてみればその通りで、だからといってそれを責められることもないんじゃない?



まあ責めてるつもりなのかどうなのか……。



「なに、駄目なの?」



「別に……ただ、急に藤井さんとかどうなったのかと思って、ね?」



詩織が美貴ちゃんに振ると、美貴ちゃんが隣で頷く。



「そうですよ、あれほど拒否してたのに」



「状況が変わったのよ」



デスクから立ち上がり、そう言うと詩織と美貴ちゃんが顔を見合わせる。
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