大人的恋愛事情
 
携帯のアラーム音に、目が覚めると背中にいたはずの圭の胸が目の前にあり。



懐かしい匂いに、擦り寄るように眠っていたことに我ながら軽くショックを受けた。



携帯に手を伸ばすと、私を抱きしめていた懐かしい匂いの男が僅かに身じろいだ。



「おはよ……」



目を開けた圭が眠そうに笑顔を見せる。



その顔がとても幸せそうに見えて、私は思わず視線を逸らしてベッドを出た。



「逃げるなよ」



微かに笑いながら私の抜け出たスペースの布団を抱きしめる。



そんな子供っぽい圭の仕草から視線を外して聞く。



「仕事行くの?」



カーテンの隙間から入る日差しが、圭の茶色い髪に当たり透けるようにさらに茶色く見せ。
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