大人的恋愛事情
 
「まだダルい……」



私を横目で見上げながら訴えるように言ってくるので朝から溜息が出た。



なんだか無視できない自分が情けなくて。



どこかで圭には私しかいないんじゃないかと思う自分が嫌で。



そんな無駄に私を動揺させる男を置いて寝室を出た。



結局は熱がまだ38度以上ある圭は、休むことにしたようで、だったら帰ってもらうため鍵を渡そうとして思いとどまった。



せっかく鍵を替えたのに、それを預けるなんてどう考えても本末転倒だったりして。



だからといって、もう時間もなく……。



結局は私が帰るまで部屋から出ないように言い残し、会社へ向かった。
< 340 / 630 >

この作品をシェア

pagetop