大人的恋愛事情
「いいんじゃないですか?」
軽くそんなことを言う可愛い後輩に視線を向けると、私の仕事をテキパキとこなしながら軽く肩を竦める。
「なにが?」
「村岡さんとの結婚ですよ。そりゃあ、村岡さんのしたことは許せることでもないでしょうけど、考えたらそれはそれでいいと思いますよ」
「それはそれで?」
なにがいいのか……。
「だってある意味、それがあったことによって、繭さんの大切さをわかったわけでしょ?」
私の大切さ?
パソコンの画面に数字を入力する美貴ちゃんが、そこから視線を外さずに続ける。
「てことは、村岡さんはそれをわかって結婚するってことですから」