大人的恋愛事情
距離
欲望が満たされ我に返ると、落ちた事への後悔が押し寄せる。
だからといって、今さら逃げられるわけでもなく、一度立ち上がる圭が私の部屋だというのに、当然のようにクローゼットに入る避妊具をだしてくるのを、動かない身体で呆然と見ていた。
なににたいする後悔なのか、誰にたいする罪悪感なのか、そんなことを思いながらも、ベッドに座る圭の背中を見つめる。
「本気で結婚したい」
ベッドに腰かけ、避妊具を手に持ちそれをジッと見ながら、圭が静かに言う。
先ほどまでの意地悪な声ではなく、甘くクセのある聞きなれた声。