大人的恋愛事情
 
この期に及んで結婚したいなんて言う圭は、藤井祥悟とのことは無視するつもりらしく。



もちろん圭に責める権利などない。



でも、こうして無理やりだとしても、圭に答える私もいるわけで。



心から嫌だとも思っていない私もどこかにいて。



一年の空白を埋める事がこんなにも簡単なのだと思い知らされたりして。



見慣れた背中を必死で振り払う必要が、どこにあるのかなんて思えたりもして。



だけどやっぱり、トラウマはトラウマで……。



肌蹴たシャツをそのままに、手に持つ避妊具を片手でクシャっと握り、溜息を吐く圭が呟く。



「どうしたら許してくれる?」



「……」
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