大人的恋愛事情
「えぇ! どうして圭が繭の家に?」
「さあ。昨日から繭さん溜息ばっかで、私の幸せまで逃げる気がして、ホント嫌なんですけど。詩織さんどうにかしてくださいよ」
可愛い後輩は、今や私を避けようとまでしているというのに、重い溜息がおさまらない。
「昨日、藤井さんと昼食べてたのに?」
「そうでしょ? てか、もう藤井さんと会うの……」
「圭と話したの?」
美貴ちゃんの言葉を遮って、詩織がそんなことを真剣に聞いてくるのを、視線を逸らしてやり過ごそうとする。
「繭?」
「別に……」
「別にって、家にいるんでしょ?」