大人的恋愛事情
 
「今日はいない」



「でも話たんでしょ?」



まあね、話だけじゃなくてそういう事もしたけどね。



なんて言えるはずもない私は、ベストをハンガーから外しながら、どうして藤井祥悟の時は簡単に言えたのに今は言えないのか不思議に思ったりして。



それは事態が深刻になってきたということ。



軽い気持ちで藤井祥悟と寝た、何週間か前とはまったく変わってしまった事態に、どうも私だけが着いて行けてない気がする。



「圭はなんて?」



私服を脱ぎながら鋭く聞いてくる詩織と、伺うような美貴ちゃんの視線にまた溜息が出た。
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