大人的恋愛事情
 
「たいした事じゃないわよ。結婚したいって、俺と結婚して下さいって言ってた。でも急にそんなこと言われても、答えようもないし、少し考えさせてって言ったし、圭もわかったって言ってた……以上終わり」



ロッカーを閉めてそこを出て行こうとすると、やっぱり二人の声が聞こえてきて。



「プロポーズってたいしたことじゃないの?」



「ちょっと繭さん、もう溜息はやめてくださいよっ!」



美貴ちゃんって時々、よくわからないところに反応するのよね。



プロポーズより溜息の方が気になる美貴ちゃんは、よほど幸せが逃げるのが嫌なのか。



てか、どうでもいいっ。



ホントどうでもいい。



何百回、何千回溜息を吐いても、足りないくらいの気の重さはいったいなんなわけ?
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