大人的恋愛事情
 
偶然当たった車のライトに夜の闇に浮かぶ私と圭は、寄り添うように歩いていて。



まあよく偶然ここを通り掛かった社員がいたものよ。



そりゃあ本社ビルだけで、何百人って社員がいるものだから、可能性は否定できないにしてもあまりの偶然に声も出ない。



「愛し合ったんで……」



「合ってないわよ」



「そうですか……」



キッパリと言い切る私に、さすがの美貴ちゃんも同情したような声を出す。



「これはマズイですよね」



「そうね」



「藤井さん完全に誤解しますよね」



「そうね」
< 493 / 630 >

この作品をシェア

pagetop