大人的恋愛事情
さすがに小娘でもないので、恥ずかしがることもないまま洗面台の歯ブラシを手に取った。
使い捨て歯ブラシの使い心地の悪さは、目に余るものがある。
そもそもドラックストアへ行けば、今時百円以下で売っている物もあるのに。
一度口に入れた歯ブラシを、口から出しそれを眺める。
五十円くらいなのだろうか?
百円と五十円の違いでこれほどまで違うものなの?
もっと安いのかもしれない。
二、三十円……。
「熱っ!」
歯ブラシを繁々と眺めながら、どうでもいいことを考えていると、男がシャワーの熱さに驚いている。