大人的恋愛事情
 
「こんな熱いのよく平気だったな」



「熱かったわよ」



「じゃあ、調整しろよ」



「面倒だったから」



そう言いながらもう一度歯ブラシを口に入れて男を見ると、少し屈んで蛇口のカランを捻っているところだった。



その長身とバランスのとれた長い腕。



肩につく筋肉は手が動くたびに連動するのか、微かに浮き上がる。



屈んだことにより力が入り、波打つような割れた腹筋が盛り上がる。



シャワーをそのままにしているため、俯く首の辺りに水しぶきがあたっていて。



濡れて寝癖が納まる髪は、硬そうに見えるのに昨日の触り心地でいくとそう硬くない髪質だったような……。
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