crocus
学生の頃は天気によってどうしても気分が変わってしまう部分を必死で隠そうとしたり、正直に話してもからかわれたり、冗談に取られてしまったりした。
そして1人の方が楽と思い始め、友達とは自然と上辺だけの付き合いになってしまった。
若葉にだって適当にはぐらかして冗談にしてしまってもよかった。
でも若葉が温かさをくれたから、本気で泣いたりなんかするから 笑われて傷ついてもいい覚悟で話した。
いや、本当は『こいつは大丈夫』って確信があったのも事実で。
昨日のライブのステージ上で若葉は『信頼されたい』と言っていた。若葉を信頼し始めているその証拠に、自分の過去を話してみようと思えた。
そうすれば若葉が喜んでくれると思ったんだ。
返事は『ありがとう』と安易な言葉しか打てなかった。けれど、そこには底はかとなく嬉しい思いが込もっていることが伝わればいい。
またもや琢磨の手から携帯を抜いた若葉は可愛い笑顔を見せたあと、凄く優しい表情でそれでいて少し戸惑うように何度か下唇を噛み締めてボタンを打ち出した。
打ち明けたことで妙にスッキリとした気持ちで待っていれば、トントンと肩を叩かれ若葉から携帯が返ってきた。