crocus
後悔の念が芽生え始めながらも携帯を見れば、文章は続いていた。
『そして…絆の石に書かれていた言葉。「タクマタウン」って健太さんの思いがとても分かる気がします』
は?あれに意味なんか…。琢磨は眉を吊り上げながら、声の代わりに渇いた吐息を吐き出した。
『「数じゃなくて、この中で一番大きい木がもみじだから、もみじロード」そう琢磨くんが言っていた言葉を言い換えて…』
脈拍が分かるほど携帯を持っている右手に次第に力が篭る。
『「友達の数じゃなくて、この街で一番大きな存在が琢磨くんだったからタクマタウン」健太さんは街で起きた思い出の6年間をそう名付けて絆の石に書いたのかなって…』
…不思議と本当にそんな気がする。そうだとしか思えなくなる。
もし事実は違うとしても、それでもいいから若葉の予想を信じたくなった。
若葉の仮定文の終わりには丁寧にお詫びが書いてあったけれど。
『勝手なこと言ってごめんなさい。美化したかった訳でも、励まそうと下心があった訳でもなくて…私が健太さんだったらの話です』
私が健太さんだったら…なんとも若葉らしい言葉。それをマネして琢磨も自分に当てはめてみた。