crocus
一見、若葉に打ち明ける前のままのようだけれど、それは違う。
健太の想いから目を逸らし続けていたことへの、後悔の念が生まれた。
今までは、心のどこかで健太は薄情者だ、裏切ったんだと責めていた。
それが一番楽だった。そうすれば考えなくて済むから。寂しい気持ちを、憎さにすり替えられたから。
健太にも何かの事情が…だなんて、1ミリも歩み寄る余裕なんてなかった。
物事を見る視点を変えたからこそ見えてきたこと。
健太に守られていたかもしれない。言いたくないことを言わせたかもしれない。
それに気づこうともせずに、自分がこれ以上傷つかないように守ることで手が一杯だったなんて。
生まれたそんな後悔はめちゃくちゃ痛くて、けど温かさもあった。
これは一生大切に背負っていくべき大切な痛み。