crocus

若葉が故障寸前のロボットのようにぎこちない動きをしていたその時、突然バンっと開いた扉に驚く。危うく琢磨くんの頭を落とすところだった。

「琢磨!……と、若葉……ちゃん?」

「はれー?なぁにこの絵」

「あ、恭平さん。誠吾くん。……お、おかえりなさい……!一応、しぃ~の方向で……」

声をなるべく潜めながら人差し指を口に当てて言えば、2人とも同じ様に人差し指を唇に当てながらテテテと静かに入ってくれた。

肩を上下させて少し息切れをしている恭平さんと誠吾くん。もしかしたら琢磨くんを心配して走って帰ってきたのかもしれない。

眠っている琢磨くんを見て安堵するだろうと思っていたけれど、2人はお互いに顔を見合わせたり、琢磨くんをすごい剣幕で見下ろしたり、また顔を見合わせて変顔をし合ったり、琢磨くんを足蹴にしたりと、すごく息が合っている2人。

帰ってきて早々、慌ててどうしたのだろうと、琢磨くんの頭が落ちないよう気遣いながら考えていた。

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