crocus
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恭平の部屋は夜でも暗闇防止のために、電灯を極力付けたままになっている。
それよりも眩しい日差しが瞼を突き刺して、朝が来たことを教えてくれた。
今日は定休日。
遅めの朝食の時間になって、ぞろぞろと集まり、席に着く恵介達。「おはよう」と、当然のように挨拶してくれる奴らの優しさが、今は心の柔らかい部分を突付いてくる。
恭平は椅子の前に立って、ガバッと腰を90度に曲げた。
「昨日はすいませんでした!」
しんと、静まり返るリビング。
今、全員の視線が自分に突き刺さっているだろう。
重苦しい空気の中、恵介がポツリと言った。
「まぁ、いいんじゃない?……今日、働くんでしょ?働きたいんでしょ?働くよねぇ?」
「恭平、新聞」
間髪入れずに、要が単語を並べた。
咄嗟に恭平は今日一日の自分の立場を頭に浮かべると、作り笑顔のまま両手の拳に力を入れた。
「がってん承知!」
一通りの覚悟が出来れば外の郵便受けに走った。
何なんだよ、あの連携プレー。
何なんだよ、あのドSコンビ。
新聞を持って戻ると、琢磨が大げさに声を張り上げた。
「あー、肩だっりぃ!昨日は超ハードだったなぁ……」
ニヤニヤしながらグルグル肩を回している。その意味に気づいてサササと駆け寄った。
「これはこれは琢磨様、喜んで揉ませていただきまっす!」
「あれー?んなつもりなかったんだけどなー……。ま、恭平がどうしても揉みたいって言うんならー仕方ねぇよなー」