crocus
今度こそオーナーが帰ったと思えば、極悪非道の4人に容赦なくコキを使われた。……1人は明らかに確信犯の暴露話だが、精神的に大打撃を受けた。
「犬っころ、掃除をさせてやる」
「きょうへーい、ゲームのパッケージと中身、全部揃えてー」
「……恭平。『ミトバシ魔法院』のサラマンダーさんの腕取れてるんだけど……説明してもらえるかなー?」
「ねぇ……僕ね。この間、恭平が録画してたサッカーの試合全部消しちゃったんだ。さすがに許してもらえないよね。ねぇ、どう思う?ワンちゃん」
◆◇◆◇◆◇◆◇
通常の営業時間19時を迎えると、やっと開放された。
恭平は自室のドアを開くと、ゾンビのようにふらつきながら部屋に入った。
床にはサッカー雑誌が数冊散らかっていた。表紙を飾る有名選手に力なく語りかける。
「疲れただろ?カカ……オレも疲れたよ。なんだかすごく眠いんだ」
全身をベッドに投げ出すと、ボフっと深く受け止めてくれる布団の柔らかさときたら……。
クルクル回る天使がお迎えにきてもおかしくないほど、疲労困憊だった体はどこまでも沈んでいける気がした。