crocus
増えたのは、女子がクスクス笑いを堪えている姿と、「どんまい!」と頭をクシャクシャっとしていく男子の励ましの声だった。
こんな風にいじられてばっかりだったけれど、お菓子作りをするのと、同じくらい学校へ行くことも楽しみになった。
なんだかんだ言っても双子と、学校生活をほぼ一緒に過ごしていた。
男も振り返るほどの美貌で、ドSで、わがままで、破天荒な双子だったけれど、クラスの人気者だった。
そんな双子と一緒にいれば当然、誠吾自身も着目される。大抵は双子のいたずらに、笑って同情されるだけ。
それでも、大勢のクラスメートに囲まれることは初めてで、翔と祥は新しい世界を見せてくれた。