crocus

「にやけてるー」

いつの間にか電話を切っていた誠吾くんは、ベッドにうつ伏せになって人差し指を若葉に向けてクルクルと回していた。

「はっ、ち、ちがくて……!それより明日って……?」

「うん、うちの店と直接契約してるいちご農園の上原さんのとこに行こうと思って。若葉ちゃんのことも紹介したいし、摘むのを手伝ってほしいなぁー」

「わぁー……いちご農園」

「もしかして、初めて?」

「うん!だから嬉しい!あっ、でもちゃんとお手伝い頑張るね?」

頭の中ではすっかり想像上のいちご農園が広がっていて、なんとなくいちごの香りさえしてきそうだ。

そんな中、誠吾くんは笑顔でさらりと言った。

「じゃあ、明日は5時に出発ね!」

「……ご、5時……」


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