crocus
crocus 04

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誠吾が双子の友達の翔、祥という子と和解した。その後、厨房で2人のためにショートケーキを作り上げた。

その様子を横目に見ていた恵介に対して、誠吾はホクホクと息を弾ませながら言った。

「誰かを想って作るって、やっぱり楽しいなぁー♪久しぶりすぎて、手が震えちゃったよ、へへへ」

そう言って、両手に2つのショートケーキを持って双子くんの元へと向かっていった。

よかったと、正直に思う。

誠吾は可愛いし、いじめがいがあるし、敵わないなと尊敬する部分だってある。

そんな誠吾が心から嬉しそうに笑っていて、今までのわだかまりが嘘だったかのように3人で、はしゃいでいる。きっと、恭平たちも同じ気持ちでいるんだろう。

でも心のどこかで醒めた目で見ている自分がいる。これはきっと、この中で僕だけなんだろう。

ずっとずっと押さえてきた鬱屈した部分が、近頃隠しきれなくなってきた。今だって、持っていたトマトに指の跡が5本分くっきり残っている。

誰も気遣ってくれないからなのか、そもそもオーナーの勝手な采配に苛立ちを感じているのか、…きっとどちらもなんだろうけど。

恵介は誠吾達に囲まれて笑っている女の子を鋭い視線で突き刺した。嫌悪を抱いていることを、彼女が気づくまで見続けるつもりだった。

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