crocus

衣類や生活雑貨をたくさん買い揃え、駅前に新しく出来たというオープンカフェでオーナーの宣言通りにゆっくりしてしまい、夕陽もが落ちようかというところで帰宅した。

「ただいま戻りました……」

そろりそろりとリビングの扉を開くと、至るところで、ぐてーっと倒れ込んで休んでいる店員さん達がいた。

若葉はしゅんと肩をすくませ、ごめんなさいと心の中で謝りながら目を伏せて、再び扉を閉めた。

「ったくしょうがない男共ね……。これくらいでへばるなんて。若葉ちゃんは気にしなくていいのよ?どうせあいつら暇なんだから!」

「は、はぁ……」

果たして本当にそうでしょうか……。

オーナーから視線を外しながら、そう思う若葉の中で申し訳なさが益々湧き起こる。

そんな若葉を尻目にクスリと笑うオーナーは2階へ続く階段を登り始め、若葉も急いでパタパタと後に続いた。


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