crocus
店の扉に向かって走り出した琢磨達。そこを目掛けて銀色の小さな物体が飛んだ。
「じゃ、行って…!?いってぇ!」
それが見事に琢磨の後頭部に命中した。床に落ちたのはクロッカスの車の鍵。投げたのは、要だ。
「それで早く追え。バカ」
「あはっ!大好きかなめん!ほら行こっ!」
「やるだけのことやってくっからよ!」
誠吾と恭平は未だに痛がる琢磨の両脇をそれぞれ抱えて店を出ていった。
もう今日は店は開けられない。恵介はダブリエを脱ぎながら要に話しかけた。
「もしかして、田辺って人にわざと雪村さんのことどうでもいいように言った?」
「情報を餌にするのは好きだか、逆は嫌いだ。ああいうのは、興味ないフリをすれば、勝手にペラペラ話す奴が多い」
「ふふっ、要だけは敵に回したくないな」
ふんっと鼻で笑う要は、椅子逆さまにして、テーブルの上に置いていく。掃除を始めるようだ。