crocus
三馬鹿
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俺達は田辺率いる黒スーツ軍団が乗る2台のベンツを追っている。
気づかれないように着かず離れずの距離を保ち慎重に運転している俺の名前は、新谷琢磨。よく『しんたに』って間違われるけど、『あらや』です。
好きなものはゲームです。ゲームは俺にいろんなことを教えてくれます。
一番好きなゲームのジャンルは一周回って……、主人公である赤い帽子を被った配管工のおじさんの名前が入ったカートレースゲーム。
そして今まさにそんな状態。
若葉ちゃんの元へと繋がると信じて、目も離さずに追っている訳なんだけど、つい頭の中で考えてしまう。
その内、道路に七色に輝く四角いマスが出現しないかなとか。
誰かあいつらに赤い甲羅をぶつけてくれねぇかなとか。
星をゲットしてテッテテンテッテテテンテって音楽を鳴らしながら無敵になったりしねぇかなって思うと、ちょっと楽しいです。
ちなみにハンドル回す時、人指しでLRボタン押す感じになってます。
そんな中、後部座席では誠吾と恭平が真剣な話し合いをしています。ちょっと聞き耳を立ててみましょう。
「なぁ、なんか俺ら探偵っぽいよな」
「うんうん。渋滞に捕まったら僕はスケボに乗って、いざって言うときは、スニーカーからサッカーボール出すね」
「いやスケボ乗せてねぇーし、お前下駄じゃん!つかなんで下駄!?」
「ねぇねぇ、僕らもなんか名前付けようよ!なんとか探偵団っていいよね。イチ、ジュウ、ヒャク、センマン、ジュウマン……」
「いや、それ……鑑定団だから!昔田さんが司会がんばってるから!」
「やっぱりイニシャルの頭文字から取るのが無難かなぁ……。誠吾のS、琢磨のT、恭平のK。STK探偵団!あっ……『すごい、つよい、かっこいい探偵団』の略称になるねー!」
「安易。すんげぇー安易!むしろ弱そう!」
「あー!琢磨!目の前に3連バナナの皮!気をつけて!」
「え!どこ!?写メ!!」
「っばか!よそ見すんなっつの!」
「あっ!あの焼肉屋さんの雑炊みたいなやつおいしいよね!」
「え!クッパどこ!?桃姫、また攫われてない!?」
「だぁっ!もう運転代われ!」
「「黙れ、方向音痴!!」」
STK探偵団、至って真剣に追跡中。