crocus

どうやって買ったのかは分からないけれど、毎年2人分のプレゼントが用意されていた。

「今年も病室でクリスマスを過ごすことになって、ごめんね?母さん今だいぶ体調がいいから来年こそは退院して、要の私立中学の入学式に出るからっ!」

ふんっ、とガッツポーズして母さんは意気込みを見せていた。

「うん」

「あんた、言うことそれだけ?まぁ、いいけど。ほらっ、お母さんにクリスマスプレゼントあるんでしょ?」

「ええ~!?ホントに!?嬉しいなぁ、何々?」

爛々と目を輝かせて、子供みたいにはしゃいでいる母さん。要はその反応が反って、申し訳ない気持ちに拍車をかけた。

カバンから恐る恐る取り出したのはアルバムだ。

「母さんは…外の景色が見えないでしょ?だから…今年の誕生日にもらったカメラで景色を撮ってきたんだ」

「…見てもいい?」

「うん、全然上手く撮れてないんだけど…」

母さんがノートくらいの大きさのアルバムを丁寧に開くと、そこにある写真は姉さんと要のそれぞれの通学路や、学校の様子、川や海や近所の公園が写されていた。

少しでも一緒に歩いている雰囲気を感じてもらえたらと思ったけど、ぶれたり、逆光が入ったりしているものもあった。

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