crocus
「前に茜ちゃんが、どうしてお母さんはお父さんと結婚したの?って質問したでしょ?実はね、お母さんが一目惚れして、猛アタックしたのよ?」
「えーー!!?」
病室だということを忘れるほど、声量なんか気にしてられなくて、お腹から驚きの声を姉さんと一緒に挙げた。
その後すぐに、3人同時に「シィー!」と人差し指を唇に当てた。
「本当に大好きでね、その時から母さん体が弱ったんだけど、慎一郎さんと一緒にいるときは、すこぶる元気になれたの」
「で、虹と父さんがどう繋がるの?」
両親の馴れ初めを聞くのはなんとも妙な思いがして、要は結論へと急がせた。
「んふふ。あのね、19回目のデート中に気分が悪くなって吐いちゃったの。そしたら慎一郎さんは咄嗟に高いジャケットで受け止めてね、そこに虹が架かったの」
「…えっ…」
確かに虹は光が水滴に反射して出来る現象だけど…。