crocus

女子生徒はドン引きしているというのに、なにあの先生、ちょっと誇らしげにこっちをチラチラ見てるんですけど…。

見たか!大人でしょ。誤魔化すの上手でしょー?えっへっへ。

そんな心の声が表情からだだ漏れだ。仕舞いには、これまたヘタくそなウィンクを飛ばしてきた。それに不覚にも、ときめいてしまった自分も相当キてる。

2人だけで秘密を共有するというのは、スリルがあって、先生との親密度も上がる。この学校だけで言うなれば、自分が一番先生のいろんな顔を知っている自信があった。

逆を言えば、この学校で自分のことを一番知ってくれているのは先生で、もしかしたら父さんに並ぶくらい心を開いていた。

先生に頼りにされ、必要とされていることが誇らしく、料理を好きで良かったと心からそう思えた。

そんな日々が続いていたけれど、期限の日は確実に近づいていた。

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