crocus
「待ってください!25階から先は通行証となる、社員証が必要になります。俺に考えがあるので、一先ず人事部がある3階へ行きましょう」
哲平の指示に従って3階へと行くと、廊下は既に照明が落ちていたが、1つの部屋だけ灯りがついていた。
「不正だけど、俺…人事部の人間なんで社員証5名分作るんで、あっちの部屋に置いてある、過去の商品サンプルのスーツに着替えてください」
「哲平…、お前バレたらクビじゃねぇのかよ」
「バカだなぁ、恭平。そんなの覚悟の上だよ」
神妙なムードにさせない哲平の笑顔に、本気具合が伝わってきた。
「仲間が増えたね、アウト君」
「まだ言ってんのかよ、恵介!」
哲平を疑う人間はもういないことが、やっぱり嬉しかった。