crocus


そんな若葉ちゃんの笑顔を、クロッカスの仲間を守るためには、見えない不安に捕らわれ足をすくませているわけにはいかない。

もう子供じゃない。
哲平の力にだってなれるはず。
仲間を、自分を信じたい。

改めて固い決意をした恭平は、ヒュッと息を短く吐き出し気合を入れた。

「調べてみたらまだ社長は社にいるようです。それから専務である息子さん、社長の娘であり秘書の大島さんの奥様もいるようです。あと…社長の息子さんも」

「それってどういうことー?」

誠吾がキャスターの付いた椅子に座りクルクル回りながら尋ねた。

「今、挙げた方々は秘書の大島さんと関係が深い人たちです。その方々の専用の部屋はバラバラの階にあるので、大島さんがどこにいらっしゃるのかピンポイントで把握するのは難しいんです」

哲平は「ですから」と言うと社内の見取り図を全員に配っていく。
 

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