crocus
「そろそろ話してもいいだろうか?」
「は、はい!お願いします」
自己紹介中だったことを思い出し、若葉は手を差し出してお願いした。
「桐谷要(きりたにかなめ)です。オーナーが不在の間は、代理の管理責任者です。昼間はウェイターとして、夜はバーテンダーとして働いています。因みに尊敬している人物はオーナーだ。そのオーナーが大事にする君は、俺も大事にするのが世の常というもの。何かあれば俺に頼るといい」
「はい、ありがとうございます!桐谷さん」
若葉の笑顔に頷いた桐谷さんは、無表情のままオーナーさんに向かって淡々と言った。
「オーナー。確か昨夜、誠吾が雪村さんに抱きついているのを見ました。憶測では、あれは雪村さんの初めての抱擁だったと思われます」
桐谷さん!それ言わなくていいのにぃ!
「なんですってぇぇ……?」
あちゃーっと、若葉は片目を瞑った。
桐谷さんは顔色1つ変えずに真っ直ぐ前を見据えている。
上矢さんは既に顔面が青ざめていて、オーナーさんに至っては[描写禁止]で、[描写禁止]になっていた。
「かなめんのおに゙ぃ゙ー!あぐま゙ぁぁー!冷血ー!!」