crocus
哲平を責めたって仕方がないことは分かっている。ただどうしようもなく、気づこうとも、分かろうともしなかった自分に無性に腹が立った。
哲平がどんな思いで練習に参加していたのか、誰にも言えないことをどれだけ1人で苦しんでいたのか……。
そんな中、自分は全く何も知ろうとせずに、笑ってボールを蹴っていたのかと思うと、恥ずかしくて溜まらなかった。
何が幼馴染。
何がライバル。
何が親友だ。
哲平がポカンとしているのを横目に、恭平は勢いよく立ち上がった。
「鮫島って奴……俺がぶん殴ってやるよ!!!」
廊下を引き返して、エレベーターに向かう。
「まっ……恭平!……俺も行く」
俺の頭の中では、一緒に乗り込みに行く戦闘曲が流れていた。
ヤーヤーヤー、ヤーヤヤヤー。
哲平と一緒に怒りを拳に充電しながら最上階の社長室を目指した。