crocus
その姿に過去の鮫島さんとの思い出にヒビが入った。
この人は確実に変わってしまった。
それは父さんのことが原因で、時が経つにつれ、息子である要のことも憎くなったのかもしれない。
それを確かめる前に1つ質問を投げかけた。
「鮫島さん。確か公では、あなたが父さんの会社で不正を行い、退職を余儀なくされたはずでしたよね。そんな信用をなくした状況で、…どうしてここのような大手企業でまた第一秘書を出来ているんですか?」
ひょっとしたら来客として、大島グループに訪れたのかもしれないと考えてはいたが、社員証をリーダにかざした時点で、ここの人間なのだと分かった。
そのことで浮上した疑問を鮫島さんに問えば、彼は滑稽なおもちゃを見つけたようにパァッっと表情を明るくし、ついには大声で笑い出した。