恋ってよんでもいいですか?
「あの、お兄ちゃんの彼女さんですか?」


奥深く沈んでいた記憶と傷はもう私の体全部を巡っていて、


彼女が何を言っているのか、すぐには理解できない。


彼女の問いにまだ答えていないのに小さな唇は、動き続けた。


「私、お兄ちゃんの妹で中里さくら、っていいます」


名前は間違っていなかった。


突然浮上してきた記憶の中で鮮明に蘇った名前に間違いはなかった。


でもその前に



彼女が想像もしない、とんでもないことを言っていることは「ドクン」と大きく跳ねた心臓によっても明らかで。



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