恋ってよんでもいいですか?
だから私が名乗っても彼女は私みたいに心が痛むこともないし、苦しくなることもない。


だけど、名乗れない。



今、聞きたいことは、ただ一つだけ。


声が動揺で震えないように、息を吸い込んで、彼女に顔を向ける。


「お兄ちゃんって?妹って?でも…」


「ああ、名前ですよね?


うち、離婚しててお兄ちゃんは母と私は父と暮らしてるんです」


彼女はまた笑顔を作った。


その笑顔に


隼人くんと彼女は


本当に兄と妹なんだと確信した。

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