10年目の告白
プロローグ
「翔が結婚する前に会いたかったな」
彼女がぽつりと言った。

彼女は２５歳ソープ嬢。この店で彼女に出会って約1年。
俺４０歳妻子持ち。
初めて彼女に会った時にひとめ惚れして以来、毎週のように通っている。
というのはよくある話。
色恋営業に騙されカモにされて金が尽きたら相手にされなくなる。
俺もそう思いながら通っていた。
しかしなぜか波長があったのか彼女の方から誘われデートするようになり
彼女の部屋に泊まったり、旅行したりするような関係になっていた。

彼女はバツイチで「もう結婚する気はないから独身相手は面倒くさいの」
「翔は私とこんな関係になっても奥さんと離婚するなんて言い出さないでしょ。
だから安心して会えるよ」なんていつも言ってたからこの発言は意外だった。

でももし独身時代に会ってたらどうなってたんだろう。
独身時代か。俺が25で彼女10歳・・・
ありえないな。そんな時に会ってたって何にもなるわけない。
いや俺が35まで独身でいたら、35歳と20歳か。それなら・・・
バカみたいなことを考えるのはやめよう。むなしくなるだけだ。

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表紙・目次

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