10年目の告白
結局まだ夢は覚めていない。
一日会社で仕事したにもかかわらず。
本当にタイムスリップしてしまったのか?
なぜ?ひょっとして彼女と独身時代に出会うために?
そんなことありえないって。まだ彼女は10歳だぞ。それにどこに住んでるかも知らない。
いや、実家は梅田だとか新大阪だとかに近いって言ってたな。それでこの時代に戻ったのか?
訳わかんないな。とりあえず明日起きたら戻ってるかもしれない・・・
と、思いながらも寝付くことも出来ず、一晩中さまざまな思いが頭を巡った。
このまま戻れなかったらどうする。彼女を探すのか?しかし彼女と出会ったとしても10歳の子に25歳が迫ったら犯罪だろ。恋愛関係なんてなるわけないじゃん。結局一睡もできないまま朝を迎えた。

幸い今日は土曜日。
会社も休みだ。
さあどうしよう。とりあえず彼女を探してみるか。しかし探してどうする。
10歳の子供に「15年後からキミに会いに来た」とでも言うのか?
警察に連絡されるのが関の山だろう。
そう思いながらも今の俺には他にすることも見つからず、あてもなく大阪の街をうろついた。駅、デパート、公園、そんな簡単に見つかるわけないよな。それにもしすれ違っても彼女だとわかるのだろうか。いやそれはわかる。なんとなくそんな自信はあった。
しかし見つからないで欲しいという気持ちもあった。会ってどうするのかが自分の中でも整理できてない時に会ってしまうと何を仕出かすかわからない恐怖があったからだ。そう思いながらも週末になると大阪の街をうろつく日々が続いた。


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