アイ・ドール
「私達も、あの店も同じ。売る側、買う側、互いに繋がり合っている――」
「――――」
「芸能人だから何をやっても許されるとは思わないで。ヴィーラヴには、皆の模範になって欲しい――アリス達にはそれが可能だと信じてる。だってヴィーラヴは誰に対しても分け隔てなく接して、礼儀正しく挨拶し笑顔を振りまく――故に、皆から愛されている。だからこそ、万引きなんてしてはいけないわ――小さな綻びが、やがては全てを巻き込んで取り返しのつかない事態を招いてゆく。それは悲劇で不幸な事だわ――」
「自分を好きになる――自分を信じよう――」
川井出と多田坂に放った言葉は、アリスが自分自身に向け、無意識に心から発信されたのではないか。それ程に過去に取り憑かれた自分が嫌だったのか――。
私も――同じ――。
何度も小さく頷き、私の言葉を含み入れるアリス。
「約束してアリス――もう万引きなんてしないって」
キュツと唇を結び、犯した行為の愚かさを恥じ、自らの心と向き合い、対話するアリス――。
やがて――――
「自分でも、バカな事したと思う――マイマイ、ごめんなさい――」