アイ・ドール
頃合い良く「起きた」雪の導きで、初めて地下駐車場に車を駐車する――隣に詩織の車があり、更に3台分の駐車スペースを確保しているという。
「はぁ――」
小さくため息――彼女達は幾つの問題を抱えているのか。解決しては浮び上がる難題に戸惑う――。
最上階の住まいは、南東角、南中、南西角の販売上の一番良い位置を占有して、彼女達は、「イースト」、「サウス」、「ウエスト」と別名をつけていた。
居住面積の小さい「サウス」でも悠に、200平米弱の空間があり、「イースト」、「ウエスト」に至っては、250平米程の広さを誇り、3戸を自由気ままに行き来可能な仕様に改装されている。
同じ階の北側に面する住居も会社が所有するが、今は「塩漬け」になっている――。
「サウス」の共通のエントランスを抜け、雪が両開きのドアを開けると、40帖程の広大なリビングダイニングルームが現れた――。
「あれっ、マイマイ――」
ぽかんと、意外そうなキャロルアンの反応――。
この住まいに相応しいソファーに座り、かなり前に到着していた四人が部屋着に着替え、各々に寛いでいた――。