アイ・ドール

「流花もわかるわね――今日の様にダンスレッスンの時は皆が流花に助言を求める。葵にもダンスを教えたり、話をしたくて二人は苛立つかもしれない――けれど、ちょっと冷たい言い方だけど他のメンバーには全く責任のない事よ。つき合うのは否定しないけれど、そこには責任と覚悟が求められる。グループ内での恋愛関係なのだから、当事者が他のメンバーに配慮しつつ、交際を成立させてゆかなければならない。話せない、いちゃつけない、他のメンバーに独占された気がする――そう感じて苛ついたり、他人を攻撃するのはあなた達のわがままよ。二人はね、試されているの――四六時中、一緒にいたい気持ちの中でメンバーを気遣い、いかなる状況でも優しく穏やかな心でいられるかを――その事がわからないならいっそ、つき合わない方がいいわ。だって、今日みたいな事が頻繁に続いたら、ヴィーラヴの結束力は低下してしまうわ――行き着く先の結末はわかるわね。そんな悲しい事、誰も望まないでしょう――」



「――――」



「それと、二人の関係を皆は知っているのよね――知っていて、あえて何も口を出さずに温かく見守っているのね――私はそう感じたわ――」

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