アイ・ドール
いいえ――――この世界にも終わりはある――全ての出来事に、始まりと終わりは用意されている――。
私は少女の心に問い、少女は私の心に答える。
完璧な意志疎通――。
いつ、終わるの――。
それは――――。
そう――もうすぐ終わってしまうのね――。
あなたにとってこの世界は美しく、心地好い――あなたが心の奥で密かに描き望んでいたのかもしれない――でも、この世界で生きてはゆけない――――美し過ぎるの、この世界は――――。
美し過ぎる――それって――――。
あなたが戻る世界は、美しいものとそうでないものとが混在していないと駄目な世界――だから、あなたはこの世界で生きてゆけない――。
私――ここにいたい――――。
ここに残ったとしても、きっとすぐに死んでしまうわ――美しいけれど、ここは無の世界――何もかも満たされているかの如く、何もない世界――――。
そんな――――。
心の対話を交わしながらも、私は車を再び尋常ではない速度で走らせ、加速、減速、変速、操舵の行為を淀みなく行っている――。
帰りましょう――。