アイ・ドール

 アイドール達と暮らし始めてから程なく5枚目のシングルが発売、配信され、ミリオン超えにも何も感じなくなった――――麗しく濃密なアイドール達との生活もそれから3ヶ月が過ぎた――。


 間近には、6枚目のシングル発売、配信が迫っている。


 発売、配信後、アイドール達は、「死」を迎え、産まれ替わる――――私が、あの美しい世界を漂っていた時、彼女達は第2世代から第3世代へと進化した――――。


「ありがとう――」

 そして――


「さようなら――」


 第4世代は今よりもきっと人間らしく、私を愛してくれるだろう――第4世代のアイドールは忙しくなる――――セカンドアルバムの制作、リリースと直後にいよいよ開催されるファーストライヴツアーが控えている――――。



「うぅーん」

 設計、製造思考と内部精密回路や素材技術などが飛躍的に向上するとされる第5世代を、ライヴツアーの前か後か、どちらに投入しようかとミネルヴァから何度かメールで問いかけられた――。


「ミネルヴァの好きにすれば――」


 素っ気なく返信した――より人間らしく、私が愛し、愛されれば、どちらでもいい――。

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