アイ・ドール

 更に欺き、欲望と羨望の対価を吸収し、光り輝き、歌い、踊り、笑い、完璧なるアイドル、完璧なる人間であり続けるならば、偽人達にとっても良い事なのだから――――。





 新たな朝を迎えた――昨夜の嘆きの光の残光と人々の嘆きを、太陽の光が焼き尽くす。

 リビングルームから望み、眺める空は、人間の憔悴感と脱力感に、何かが起こるのでは――という、私から、街から湧き出る妙な高揚感が縺れ合いながら、澄み切る事のない色調を湛えている――。


 晴れの日も雨の日も、この空を眺めるのが私の1日を始動する日課となっていた。


 ゆっくりと視線を移動させる――――窓から見える視線の終点には、果てなき茶番を繰り広げ、私欲の拡大と謀略を練り、自らの地位と利権の維持のみを追求した魂を、選抜者という衣で纏った偽りの道化師が集うこの国の中枢施設が、これ見よがしに鎮座する。


 眼下の施設を私は蔑んだ――もはや彼らにこの国を、世界を変える能力も気概も皆無なのだろう。

 絶望感が一瞬、支配する。


「まぁ、いいわ――」

 彼らの醜い愚行も、そう長くは続かない。



 所詮は消えゆく存在――――。

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