アイ・ドール
彼はデビューからシフォンを支え続けた――あの砂漠でシフォンを励まし、共に歩み、時には立ちはだかる脅威をその身を呈して、彼女に「傷」がつかないよう、あらゆる手段を講じて守った。シフォンも彼の想いに懸命に応えた結果、砂漠の世界で確固たる地位を築いた――――その瞬間までは、彼とシフォンの心と魂は一致していた――――。
重圧と焦りなのか、頂点を極めたシフォンはその頂きを維持すべく、己との闘いに入り込んでゆく――結論としてシフォンは内なる負の自我に敗北した。欝屈し、歪んだ心と魂のストレス解消の矛先は、同業であるアーティストやスタッフ、アイドルに向けられ、終着点にヴィーラヴがいた――――。
内なる自我に乗っ取られ、我々を罵倒し、蔑む事でシフォンは辛うじてシフォンであり続けた――。
自分は救ってやれなかった――いつも傍にいたというのに――――自分は、愚かです――。
彼は寂しく呟いた――――。
「チッ、よりによってよぉ、アイツらが大トリだなんてっ――何でワタシがアイツらの前に歌わなきゃならねぇんだよっマネージャーっ、どういう事なんだよっ――ムカつくなぁっ――」