アイ・ドール
「そんな事言っては駄目ですシフォンさん――」
「るっせぇんだよっ、どいつもこいつも使えねぇんだよっ――――テメェも、テメェも、テメェもっ、辞めたきゃ辞めれよっ――もうこの業界で仕事できねぇからな――――圧力かけてやるよっ――」
起き上がったマネージャーの諌めも聞かず、シフォンは他のスタッフ達にも脅しにも似た暴言を吐いた――。
「すいません――マネージャー」
助けに駆け寄っていた男性スタッフが呟いたのを合図に、一人、また一人とスタジオを出てゆくスタッフ達――マネージャーに一礼、もしくは深く頭を下げ、シフォンを突き刺す様な視線で睨みつけて去ってゆく姿はどのスタッフにも共通するものだった――。
それだけマネージャーは人望が厚く、シフォンは憎まれていたのだろう――床に散乱する衣装、メイク道具、資料――――全てを失おうとしている人間の虚しい景色――。
アイドール達は何をしていたのか――シフォンの毒にも耳を傾ける事もなく、淡々と帰り支度を整えていた。
隣の妹グループが悲鳴を上げた時は、万希子さんやキャロルアン、アリスがスタッフに混じり彼女達を気遣った――。