アイ・ドール
最終部 最後の晩餐

 詩織が涙ぐむ――――。



 夥しいフラッシュの閃光が詩織に向かい、堪え忍ぶ姿にレンズの焦点と人間のいやらしさが合わさってゆく――。


 記者席側から見て、中央に詩織が、その右側に葵、雪、モカ、モコ――左側にキャロルアン、アリス、流花が、重苦しい表情で座る――。




 ヴィーナスタワー内にて、ヴィーラヴ本人達による緊急記者会見は行われた――。



 詩織が1枚の紙を高らかに記者達にかざした。



 ――森川 万希子――――急性虫垂炎の為、緊急入院――


 詩織が持っていた紙は、その診断書である。



 勿論、偽造した診断書――アイドール達には何も言っていない。皆、本当に万希子さんが体調を崩し、虫垂炎で入院していると信じている――。


 礼子さん、ミネルヴァ、私しか、この嘘を知らない――。


 アイドール達に、万希子さんが入院した――と伝えた瞬間の彼女達の悲痛な表情が、今も瞳に焼きついている――――最も仲の良い詩織は、しゃがみ込み泣き崩れ、他のメンバーが詩織を介抱しながらも、それぞれに涙を流していた――。



「はぁ――」

 全くもって、可愛いらしい――。

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